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柔道の「効果」廃止、「タックル」禁止へ?ーIJFルール改正に一言

まずは記事を。

 改正案によると、「一本」「技あり」「有効」「効果」の4段階に分かれている技の判定基準のうち、「効果」のポイントを廃止する。また、最近はタックルなどでポイントを稼いで逃げ切る柔道が急増していることから、組み手を両手で持たないまま、タックルや朽ち木倒しなどの技で下半身に攻撃した場合は「反則」とする方針だ。

 日本サイドは、「柔道本来の攻防を復活させる」として基本的に受け入れる方針だが、現場では「いきなり北京からは早すぎないか。選手も混乱する」と心配する声も出ている。

 このほか、試合時間の短縮を目的に、5分間の試合が終了した時点で両者同ポイントの場合は最初に旗判定で優劣を決し、3―0の場合は終了、2―1と分かれた場合は、ゴールデンスコア方式の延長戦に入る案も提案される。

柔道の「効果」廃止、タックルは禁止…北京五輪から採用も : エトセトラ : スポーツ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

ありゃりゃ、こんなことになってたとは。効果とタックルを廃止する・・・。

柔道を10年くらいやってる身ですので、この変化はかなり激しいことがよく分かります。 効果というのは確か国際ルールというのができて初めて登場したものだと思います。 それまで多くの試合で使われていた講道館ルールでは有効までしかありません。 どういう経緯で効果が生まれたかは僕は詳しくないので知りませんが、今では中学、高校の 試合でも効果があるのが当たり前で多くの選手が育っています。

そんな中、今度は効果を廃止しようということらしいですね。ここ最近、国際ルールは重要なポイントが コロコロ変わっています。例えば、ついこの間は場外際の判定について変更があり、 相手が場外に出てしまっても場内から続いた技の場合はOKとするという様に変わりました。 これ結構厄介な変更で、今までは場外に出たから「マテ」だと思って反射的に力を 抜いていたものが、ある日突然「マテ」じゃないよとなった。でも長らく染み付いて反射的に 「マテ」だと思ってしまっているものを修正するのって結構大変らしく、いくつか試合を見ていると このルール変更が効いて一本を取られている選手を何人か見かけました。

効果の廃止については概ね賛成です。理由としてはやはり一本を取りにいく必要性が 増すからというところです。効果取って満足するくらいなら、そこから寝技につなげて欲しい という気分もあります。あと、審判の目線から言うと、僕の様にレベルの低い審判だと、 効果の判定ってイマイチ分かりづらいので、無くなってくれると助かります^^

ルールを時代や流れに合わせて適時変更していくことは全面的に賛成です。NFLがアメリカで これほどに発達した理由は、ルールを細かく細かく修正し続けているからです。大体、ルールなんて ある一瞬に言ってしまえば「適当に」定めたものに過ぎないのだから、その細かい文言の 解釈で揉めるくらいなら、明確に書いた形に変更したりすればいいのです。その点、最も ダメなのが「法律」。特に日本ははるか昔に出来た文言をいつまでも大事にして、その解釈で 揉める。というか、解釈に幅を持つことで利害対立する両者が飯を食えるようにしている。

法律とスポーツのルールを一緒にするのはあれですが、ルールってのはもっともっと柔軟に 変更を加えていくのが大事だと思います。しかし、スポーツの本質をズラしてはいけない。 例えば、いまさらアメフトのルールでフォワードパスを禁止にすることはアメフトを アメフトでなくしてしまうでしょう。僕が今回のこのルール改正で効果よりも気になるのは 「タックル」禁止の方です。

そもそも柔道は「一本」決着が原則。その昔には一本が決まるまで一日中対戦し続けたなんて 話もあります。それくらい「一本」にこだわっている。今回、効果が廃止へ向かったのも、 一本での決着が少なくなっている現実を反映してのことです。しかし、柔道では一本の 取り方にルールを定めたことはありません。一本とはこういうものだという規定は 現在の国際ルールでは以下の様になっています。

投げ技:相手を制しながら相当な「強さ」と「速さ」を持って、 「背中が大きく畳につくように」投げたとき。

固技:発声あるいは合図で「参った」を表明したとき。抑込技で25秒間抑え込んだとき。

財団法人 全日本柔道連盟

投げ技について言えば、どんな投げ方であってもこの条件さえ満たせば、「一本」になる。これが柔道が 世界に広まった原動力なのです。寝技は現在は規定に決められた形の固め技でなければ 抑え込みとして認められませんが、その昔はともかく制すればいいだろみたいな感じでした。 そんな自由な中で、高専柔道やサンボなど寝技を高度に発達させた分野からも柔軟に吸収していって 今の固技が規定されています。現時点では、寝技で相手を制して形というのは、大抵柔道の 固技のどれかに分類できると、経験上は思っています。この様にして、打撃系を除く多くの 格闘技を吸収して、柔道は世界の「JUDO」となったのです。

だから、今回のタックル禁止というのは、一本の取り方を制限する方向に見えて不可解です。 国際ルールの一本の規定では「相手を制して」「強く」「速く」「背中が」畳につけば一本なのに、 タックルを使って「相手を制して」「強く」「速く」「背中が」畳についても一本じゃないよ、 それどころか「反則」とすると言っています。それはないだろと、思います。

確かに、現在の国際ルールでも反則技は存在します。「蟹ばさみ」「足がらみ」「河津がけ」「胴絞め」の 4つです。これらがなぜ反則とされているかと言えば「危険だから」の一点につきます。 例えば蟹ばさみは、あまりにも勢いよく倒れて後頭部を強打して選手が死亡したケースがあったため 禁止されたと聞いています。足がらみ・河津がけは脚部の関節を痛める可能性が高いです(とはいえ、 足がらみの禁止で柔道には脚関節が存在しないため、総合ではそこが弱点なのですが^^)。 胴絞めも力のある人が本気でやったら内臓を壊しかねないでしょう。だから、これらの反則規定に ついて文句を言うつもりは全くありません。

しかし、今回のタックル禁止は、ソースの読売新聞の記事によれば「最近はタックルなどでポイントを 稼いで逃げ切る柔道が急増していることから」という理由で反則にするようです。 こんな理由で反則技を作っていいの?そんなこと始めたら、あれもこれもと増え続けてしまうと 思いますが、どう思っているのでしょうか。

またまたNFLをひきあいに出しますが、NFLの反則の量は尋常じゃありませんが、細かく 修正を加えられる多くの項目は「選手の命」に関わるものです。まだアメフトを詳しく知っている わけではありませんが、選手が怪我をする可能性が高いタックルなどは厳しく反則になっています。 分かりやすい例では、ヘルメットのフェイスマスクをつかむことは例外なく反則になります。 それは、つかまれた相手の首に重大なダメージを与える恐れがあるからです。この様に 徹底して危険な行為をするなと言っているおかげで、選手は安心してプレイできる。それでも 首を壊す怪我をする選手が出てしまう、スポーツとはそれくらい危険なもの。

そういう理由でのタックル反則なら理解できます。でもポイント稼ぎで逃げるのがダメなんて どこにも書いてないのに、そんな理由で反則にするなんて意味が分かりません。ポイント稼ぎが 嫌なんだったら、我々がやっている七大柔道の様に、一本のみによって勝負を決すればいい。 それが嫌だからポイントを使っているのが講道館→国際の流れなのだから、自分で自分を 否定してどうするんだよ。

もしもこれが認められたら、相手に制されてきれいにタックルを食らって背中をついている選手が、 「何無駄な技かけてんの?」と笑っている姿が想像できます。そんなの柔道じゃない。 倒されて背中つかされてるんだから、「一本」だよ。これが本気で採用されるなら 僕は国際ルールに疑いを持つことにする。以上。

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