Home > コラム > 踏み出せない一歩

踏み出せない一歩

コミュニケーションにおける3つの段階

他人と親しく話せるようになるまでに,3つの段階があると思う.

  • 表面フェーズ
    • 互いに相手のことを何も知らない状態
  • 非対称フェーズ
    • 少しだけ相手の状態を知ってくる状態
      • ただし,両者で非対称に進行する
      • グループ内で理解度の差異が発生
  • 共有フェーズ
    • 互いのことをある程度以上よく知っている状態

「表面フェーズ」で人と会話をするのは得意だ.だって,互いに何も知らないのだから 完全にイーブンであり,表面上の会話で全てOKだ.「はじめまして」の延長線上で 十分.これができるだけで社交的とか言われるのは憤慨だ.こんなの,コンピュータでも できる.つまり「人工無能」.実はこういう状態はコミュニケーションなんかしてなくて ただ単に情報処理してるだけ.人間的作業じゃない.

「共有フェーズ」は,逆にお互い(もしくはグループ内)でそれぞれのことをよく知って いる状態で,ある意味で他人と会話することは,自分の中にある相手のモデルを利用して 会話できるため,とてもやりやすい.わざわざ聞かなくても相手の意見が読めるし, こちらもわざわざ言わなくても伝わる.必要最低限のやり取りで最大限の効果を 発揮できるのがこのフェーズ.ここまでくると,互いに心地よくコミュニケーションできる. だが,これが人間的かと言われるとそれも怪しくて,実は表面フェーズの 拡大版として,互いの情報を実用上十分な量シェアした状態での「人工知能」的な 会話なのかもしれない.

「非対称フェーズ」の壁

さて,問題なのは2番目の「非対称フェーズ」だ.このフェーズでは互いの情報が非対称に かつ部分的にシェアされていく.自分は相手の宗教を知らないのにこちらの宗教は 相手に知られているようなことが間々発生する.このような状況ではより多くの 相手についての情報を握っているほうが圧倒的に有利に会話できる.つまり 対等な会話ができないのだ.表面フェーズでは対称であったはずの2人が その後の情報の量によってどんどん非対称になっていくのである.この情報というのは 住所や電話番号といったパラメータ的な属性情報だけでなく,その人の思考パターンや 類型といった本人は気づいていない情報なども含まれるため,自分の情報を相手に 多く握られれば握られるほど,不利になる.これは就職試験の面接などを 考えてもらえれば分かると思う.

1対1ならばこのような感じになるが,グループでは少し異なる.グループの場合, 自分だけが知らない情報を同グループの他の人たちの間でシェアされてしまったとき, とても大変だ.従って,グループの中でいかにしてみんなと同じスピードで ,みんなにシェアされる情報を獲得していくかが,そのグループ内で弱い立場に ならないための重要なポイントになってくる.間違ってはいけないのが,自分しか 知らない情報を持っていても,それをみんなにシェアさせるのに努力を要し苦労するだけだ. 特に日本の場合そういう人は「出る杭は打たれる」ことになってしまう.

「非対称フェーズ」で常に弱い立場になりあきらめる

以下,僕に当てはめて考えてみる.このように分析してみると,僕は非対称フェーズで 常に弱い立場に立ってしまうということが分かる.例えば,学校でも部活でも研究室でも なんでもいいけど,新入生という状況を考えてみる.同期の新入生は基本的に情報としては フラットであることが多い.というか,僕はフラットでしかスタートしたことがない. ここで言うフラットでない場合は,例えば中学からの知り合いがいるとかだ. で,フラットで新入生をスタートする状態というのは,表面フェーズに相当する. この状態ではみんな知らない人ばかりがデフォルトで,人工無能的なやり取りから 始まる.この状況では会話をするのは簡単だ.

しかし,数日,もしかすると数分もすると段階は非対称フェーズに移行する.こうなると 僕は会話できなくなる.まず第一に,自分のことを伝えるのがとてつもなくおっくう. 基本的に○○な人という簡単なくくりをしたくないので,説明する項目が多すぎるというか 説明しきれない.すると,自分の情報をグループではシェアしてもらえず,自分だけが 知っている情報しか持っていないということになる.それでもグループ内でシェアされる 情報をきちんと獲得していれば出る杭,もしくは凹む杭にならずに済むのだが, そもそも親しく話したことの無い人からそういう情報を聞きだすのが無理なので シェアできない.多分,多くの人はともかく苦しくても一緒にいることで 漏れ聞こえてくる情報を必死で獲得し,たまにふられることで自分の情報を漏れ出させる ことで上手くやりくりしているのだろうが,僕の場合そこにエネルギーを割くのが できなくて,それくらいなら独りでいいやと思ってしまうので,どんどんと情報の 格差が開いていく.

もしもこの壁を越えることができれば,つまり,僕なりにも他人やグループの情報を きちんとシェアできてくると,共有フェーズに移行することができる. 今まで生きてきてこれをある程度達成できたのは,中高大の部活だけだ. 特に大学では,4年間も,しかも他の時間に他のグループと関わることなく 接してきたので,今までにないくらいに情報をシェアできたと思う.それでも 他の人は僕の知らないような情報を数多くシェアしてはいるけど,それは相対的な 話であって,僕の中で絶対的な量を考えると,飛びぬけて情報が多いと思う.

逆に言えば,それ以外の場所では全て表面フェーズにとどまっている. 周りは勝手に非対称フェーズを超えて,自分たちだけ共有フェーズに移行しているので 未だに表面フェーズにいる僕には興味もないし,こちらもわざわざ混ざろうとも思わない.

リア充 = 「非対称フェーズ」を超えられる人達

昨今話題の「リア充」の定義について,僕はこの非対称フェーズを易々と超えられる人の ことなのではないかと思っている.これは努力でどうにかなるものではなくて, 才能に依存してると思う.もちろん,リア充の中にはがんばって無理して非対称フェーズを 戦って超えている人もいると思うけど,僕みたいな人はそのがんばる過程で大抵疲れて, もしくは嫌気がさして,独りでいいやとあきらめるか,もう生きていけないということで リストカットするかのどちらかになるんじゃないかと思う.僕にはリスカする勇気も なかったので,いつもいつも独りでいいやという選択をしてきた.結果,生きる苦しみは 十分に味わってきたのかなと思っている.

続く

さて,TwitterやTumblr,BlogといったWeb時代に現れてきた新世紀のコミュニケーション ツールは,もしかすると非対称フェーズを超えるハードルを下げてくれるのではないかと 思っているのだが,これについてはまた今度.

コメント:0

コメントフォーム
Remember personal info

トラックバック:0

このエントリーのトラックバックURL
http://blog.riywo.com/2008/04/14/161742/trackback
Listed below are links to weblogs that reference
踏み出せない一歩 from As a Futurist...

Home > コラム > 踏み出せない一歩

Banners
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス track feed
Author
Feeds

Return to page top