「たのしいインフラの歩き方」を献本して頂きました

縁あって、著者の外道父さんから直接献本して頂きました。600 ページを超える単著で、ものすごいボリュームに圧倒されますが、一読してみるとどれも必要不可欠なことばかりでした。特に、組織の規模に合わせたそれぞれのフェーズでの著者の経験に基づくベストプラクティスは非常に勉強になります。

なお、こちらの読書感はあくまで僕個人の意見であり、所属する組織・団体を代表するものでは一切ありません。

技術より大事な”考え方”

本書は細かい技術の各論について述べた部分よりも、インフラエンジニアとして最も大事な”考え方”をとうとうと、ある意味くどいくらいに繰り返し述べる部分が多いです。全体を通して、外道父さんの考えるインフラエンジニア像というものがひしひしと伝わってくると思います。

いくつかグッときたフレーズがあったのですが、例えばこれ。

新人君がレビューを求めてきた時、「これで年に 8 時間以下のダウンタイムになるかい?」と質問するよりも、「それで、毎晩安心して熟睡できそうかい?」と尋ねたほうが、責任感も相まって、再考しやすくなるはずです。

p.035

考える内容はおそらく同じなのですが、言い方ひとつでここまで印象が変わるものかと、感心しました。

次の部分は僕も非常に重要だと考えます。

…こどもにもわかるように説明できることは大切です。その人が何を知っていて、何を理解できるのかを、こちらが把握しつつ、十分に理解してもらえるような手順で会話することは、…”エンジニアとしての真のコミュ力”といえます。

p.051

インフラをやっていると色々な場面で説明を求められることがあります。その際に重要なことは、枝葉末節まで正しく説明するという行為ではなく、結果として相手が理解できることです。そのためには相手によって言葉を選ぶことが重要になります。

といった感じで特に前半の「インフラの心得」の章は金言だらけでした。

あるある経験

各所に散りばめてあるコラムでは、著者の経験談が記されていますが、インフラをやっていた身としては「あ〜あるある」という項目ばかりでした。まだインフラの経験が浅い人にとっては、こういったことがいずれやってくるのだな、とある意味で覚悟しておいてもらうといいのかも知れません。

…無邪気に NFS を使うと、必ずと言っていいほど痛い目を見ます。…「じゃあ、NFS を使おうか・・・・・・」という設計イメージが出てきた瞬間に、「いやいや、別の手段を検討するべきだ!」と戒める必要があります。

p.283

(/・ω・)/ ですねー

ある日、1 台のサーバーのラック配置を変更する作業をしにデータセンターに行きました。…なんと、対象サーバーは 2U サーバーで、高さが 38U の配置にあるではありませんか。…脚立を持ってきて、…サーバーの底に頭をつけ、手探りでレールとサーバーのロックを解除し、渾身のパワーと慎重さで持ち上げ、ゆっくりと下ろすことに成功しました。

p.344

(;_:) つらい。。。

サーバー紛失事件

p.403

さすがにこれは経験無いですwwww

インフラエンジニアって何?って人にオススメ

サーバとかインフラとか全く分からないのにインフラエンジニアに配属された僕みたいな人とか、普段はアプリ開発しかしてなくて、サーバとかいじってるあいつらが一体何を考えて生きてるのか知ってみたい人とか、そういう人に特にオススメです。

中盤以降は、組織の規模に合わせてトピックが進むのでご自身の組織の規模の部分だけでも読んでみると大変参考になると思います。また、スタートアップの様にこれから組織が拡大していくところにいる人達は、まさに外道父さんが辿った道なので一読しておいて損はないと思います。

というわけで、外道父さん非常に密度の濃い素敵な書籍をありがとうございました!