ウェブ時代をゆく~まだ半分読了ですが~

わが心の師、梅田望夫先生の新刊「ウェブ時代をゆく」をじっくりと読んでいます。 梅田先生の言葉を読むと、ひたすらに脳みそを、心を殴られ続けます。 この感覚は、他の著作では味わったことがなく、心の底から気持ちがいい。 これがなぜなのか読みながら考えていたが、なんとなく分かってきた。

梅田先生の書かれる言葉は、僕が表現したかった内容そのものなんだ。 これまでの人生で、ずっと思っているのにもやもやしていて言葉に 固定化することができないもの、それを梅田先生はいとも華麗に 言葉で表現してくれている。この気持ちよさは当然他で味わえるはずが ない。具体的にどの部分と言われてもこれまたうまく説明できないが、 「高速道路」に対する「けものみち」は僕の思っている道を正に 体現したものだ。

梅田先生の考え方のヒストリーを読んで、自分とあまりにも重なる ことに驚いた。僕も、21 才までずっと高速道路を走っていた。 けものみちについて頭の片隅に意識はあったけど、日本人の性か、 結局勇気が出せず、高速道路を走りきればいい未来があるんだろうと 信じることで、ある意味けものみちを黙殺していた。つまり、 クリエイタとして表現できる道を捨て、勉強という道をひたすらに 進むことを決めた。それでも、一本の細い道を走ることはできなかった らしく、同じ方向を向いた何本もの道、つまり様々な教科を勉強する ことをしていた。その究極としてロボット工学を選択した。

22 才になるあたり、つまり大学 4 年の中頃、ふっと高速道路の渋滞の様なものを 感じ取ってしまった。これから死ぬまでこの道に一生を捧げられるかと 自分に問うた時に、はっきりと No が返ってきた。自分には驚きだった。 今まで黙殺していたけものみちという考え方がふつふつと頭をもたげてきた。 ただ、つらかったのはその頃はけものみちという言葉を知らなかったから、 自分が何を考えているのか自分で言葉にできなかったことだ。 自分がよく分からなくなった。そういう環境下で、まさに梅田先生の おっしゃる通り、やめることからはじめた。と言っても相変わらず 抜け出せない日本人の性、大学も研究室もそのままにしながら、 実質的にやめるという道をとった。今も籍は大学院だが研究室に 行くことはやめた。そうやって、ある意味でソフトに退路を断ったとき、 けものみちに降り立つことができた。今まではたとえけものみちに 光が見えても、いつも命綱をつないだままでしか降りていなかった。 この年になって初めて本当にけものみちに立つことができた。

こうしてみると、梅田先生のロールモデル思考法よろしく、周りが 見えるようになってきた。結局、高速道路に乗っているうちは 高架だから下の道は見えなかったということ。梅田先生と同じように 本に何かを求めて、楽しむためではなく、生きるための水の様に 本を読みまくった。ひとつの本から得られる具体的な内容なんて なにも残っていない。ただ、何か分からないけど感じたことだけが 残っている感覚も全く同じ。そして、僕は今この段階にいる。 今の時点でのロールモデルがちょっとずつ見つかりつつあるような 気がしてきた。

今日けものみちに関する梅田先生の考え方の部分を読んで、 生まれて初めて自分の人生をはっきり言葉に出来た気がする。 梅田先生のすごさはここに集約できる。もやもやとしたものを 言葉に固定化できる。しかも、さらに実践済み。うらやましい。 僕が梅田先生に勝てるものは、唯一若さ。この強みを活かさない手は ない。まずは日本特有の新卒採用という制度を利用して、 まず短い目標を達成していくとしよう。その途中で、日本人の 空気に飲み込まれて長い目標を見失うことの無いように、 常に心の中で梅田先生をロールモデルとして抱き続けていこう。

もしも、この本をタイトルだけから「何かウェブのビジネスについての 本なんでしょ」とか思ってる人がいたら、僕が一発殴ってやる。 そんなアホみたいな紋切りをする暇があるんだったら、まず読め。 梅田先生の言葉は僕がまとめて書いても伝わらない。まず 梅田先生の言葉に触れて、それから自分で考えればいい。それを 怠けている人では、勤勉たる我々に勝つことはできないよ。 エスタブリッシュな立場で人の粗探しにいそしみ、怠けることしか しない人間は、梅田先生が語る「ウェブ時代」において必要ではない。 ウェブ時代を生きたければ、勤勉に、正直に、楽観的に生きること。 人類は進化できる。変われる。今、もしかするとその真っ只中に いるのかもしれないと思うと、僕は興奮を抑えきれない。 就職活動という瑣末なことに気を病んでいる自分が恥ずかしくもある。 毎日をのうのうと生きるだけの人は、少しくらい、自分が生まれて生きる 意味を考えてみてはどうだろう。考える金銭的・精神的余裕があるのに それを怠ることは罪だ。

最後は感情的になってしまったけど、そうならざるを得ないくらいに、 心の奥底を揺さぶってくれる梅田先生の言葉に、僕は一生恋をし続ける。 まだ半分も新しい言葉を読めるというだけで明日を生きる希望が生まれる。 梅田先生に出会えてよかった。