Vancouver暮らしを始めた2018年

ようやく半年経ったけど、まだまだ生活は落ち着きをみせないです。最近下にあるような記事が出ていて、Canada への移住に興味の出てきた方が増えてくれたらいいなと思い、自分がこれまで見てきた Vancouver での生活を振りかえっておきます。

https://note.com/torazuka/n/n5324fd3b683b

気候・天候

以下のグラフは、この 1 年間の月間最高・最低気温を Vancouver1と東京2でプロットしたものです。

こうしてみると、東京より大体 5〜10℃ ほど気温が低い感じになります。最近は朝晩で 0℃ を下回ることもしばしばで、もう少し防寒具を揃えないと厳しそうです。。。東京も酷暑でしたが、今年の夏は Vancouver も例年より暑い方だったようで、家にそもそも冷房というものが設置されていない我が家はしばらく暑くて大変でした。。。

次のグラフは、この 1 年間の月間総降雨量を Vancouver3と東京4でプロットしたものです。

東京と比べると、明らかに秋〜春の降雨量が多いですね。Vancouver は雨の街で、夏を除けばほとんど雨が降っているとも言われます。それでも今年は降らなかった方でしたが、東京から移住してきた身としてはまた雨か、、、、という感じはします。代わりに、夏はほとんど雨も降らず、とても気持ちの良い気候でした。

最後に、日の出日の入りですが、これが一番違いに驚いたかもしれません。Vanocuver は北緯およそ 50 度に位置していて、北海道よりもさらに北にあります。そのため、太陽が出ている時間の季節差が大きいです。以下の表は Vancouver5と東京6で、6 月と 12 月の月間で最も早い日の出時刻と最も遅い日の入り時刻をまとめたものです。

Earliest sunriseLatest sunset
Vancouver Jun5:06 (6:06 PST)21:22 (20:22 PST)
Tokyo Jun4:2519:01
Vancouver Dec7:4616:28
Tokyo Dec6:3216:37

夏の一番遅い時期ではなんと夜の 9 時をすぎてもまだ太陽が出ているのです。もう子供を寝かせる時間だというのに本当に困ったものです。。。朝は 5 時頃に日がでるので、16/24 時間(1 日のうち 66%)太陽があることになります(東京は 60%)7。ちなみに、この時刻は Daylight saving (夏時間)での時刻なので、もし夏時間を使っていなければ(PST)、8 時過ぎということになりそれでも東京の 6 月より 1 時間遅くなります。

一方冬になると、朝の準備をする頃はまだ外は暗いです。太陽は 1 日のうちの 37%にまで減少します(東京は 41%)。これに上の連日の雨が合わせ技でやってくるので、秋から冬にかけてはなかなか陰鬱な感じのお天気です。

子育て

うちは 5 歳の子供がいて、ちょうど kindergarten の対象です。Vancouver では公立の kindergarten に無償で入ることができ、それは翌年入る elementary school の附属になっています。うちは住んでいる学区(catchment)の kindergarten に無事入ることができましたが、場所によっては定員オーバーで他の場所に回されることもしばしばあるようです。

9am-3pm のプログラムで、英語ができない子も多いので English Language Leaner (ELL)もあり、学校の中で英語も教えてくれます。Academic English ができるようになるには 9 年はかかると言われているのでまだまだ先は長いですが、少しずつ単語を覚え始めているようです。

うちの子はまだ英語できないし、なんならお互いに英語できない子供同士もいるわけですが、それでも楽しく遊んだり今日誰が何していたなどと教えてくれて、子供は強いなぁと思う日々です。

あと、バスをたまに使うのですが、ベビーカーでバスに乗ろうとすると日本だと最悪の体験(まだロックしてないのに発車する運転手、そもそも狭くて後部ドアからしか入れない構造、乗客も非協力的等)しかしたことがなかったのが、こちらでは当たり前にベビーカーや車椅子が乗ると席を空けるし、ロックしたよって言うまで待っててくれるし、何もかも当たり前のことが当たり前にできる文化なのが精神衛生上極めて良いです。

病院や保険

基本的な医療保険は、3 ヶ月 Britich Columbia 州に住めば公的な保険の Medical Services Plan (MSP)が利用できるので、California の様に保険で悩むことはありませんでした。インフルエンザの予防接種が無料で受けられて、子供用に鼻から吸うタイプのものがあったのにも驚きました(5 歳の子は注射が苦手なのでもちろん鼻から)。MSP では歯科や眼科は対象外ですが、別途会社負担で保険に入れているので、そちらも安心です。なお、すでに何度か救急で病院に駆け込んだりしています。。。

永住権

会社からサポートを受けながら、永住権の申請も進めています。まず最初に英語のテストで必要な点数(IELTS なら全カテゴリで 6 以上)を取らないといけなかったので、IELTS を受験しまして 2 回目でクリア。Writing が鉛筆と消しゴムなのがとにかく辛くて、来年から Canada でも始まる Computer-based な IELTS が羨ましかったです。

その後は書類集めながら申請作業をしていて、もう少しで最後の申請が終わるところです。そこからどれくらいかかるかは分かりませんが、無事に取得できることを祈っています。全てが終わったら、自分のケースもまとめて共有する予定です。

職場・仕事内容

チームは国際色豊かです。どれくらい豊かかというと、7,8 名のチームですが Canada で生まれ育ったのは 1 人だけ(その人も 2 世)、あとは全員国籍が違うという感じです。隣のチームや周辺まで広げても、似た様な状況です。傾向としては、フランスはもともと領土だったこともあり多く来ている印象ですが、東欧・ロシアやアジア、南米も含め多種多様です。

多くの人(というか全員?)が高等教育は英語で受けているため、国籍はバラバラでもみんな英語はとても流暢です。訛りも様々な環境にみんな慣れている感じがしていて、そういう環境に身を置いてこなかった自分はなかなかスラスラとはいきません。とはいえ、仕事をする上ではそんなに課題は感じていなくて、大きい改善ポイントとしては Writing のスキルと語彙を高めないといけないな、といったところですが、今は技術力向上に重点を置いています。

オンオフははっきりしているので、work time とそれ以外でのメールの流量は極端に違いますし、5pm にもなればオフィスにいる人数は半減します。僕も 6pm には帰るようにして、夕食やお風呂などを子供と一緒にしています。この辺は San Francisco で働いた時と同じ感じです。

実際にやっている業務は細かく話せませんが、Amazon S3 という分散ストレージサービスの開発者をしています。AWS re:Invent 2018 では S3 のトップの Mai-Lan が keynote でも話していましたが、200 を超える Microservices の集合体が S3 なので、全体はとても複雑で、日々難しい課題が発生しています。

それらを、“You build it, you run it”の考え方で(誰かに任せるのではなく)チームで解決していくので、自分自身でやっているという感覚が持てる様になってきて、狙い通りです。実際、今 1 つ Microservice を作っているのですが、コードを書くのはもちろん、インフラ準備も監視も全て Developer が(大抵 2,3 人で)行なっています。もちろん、それを実現するための基礎となる技術はまた別のチームから提供されているので、データセンタに行ったり車輪の再発明をするという意味ではないですが、上から下まで全ての裁量を持って進められるのが、この規模でもできるものなのかと感心しています。

あと、S3 は Seattle にも多くのメンバーがいますが、地理的にも近く(車で 3 時間程度)、タイムゾーンも同じなので、協力して仕事をするのにそこまで苦労はないです、これも狙い通り。1 度仕事で出張しましたが、これからも行く機会は多いと思います。

Vancouver の Amazon オフィスでは Software Developer は国内外問わず募集中なので、もし興味のある方がいれば教えて下さい。仕事何してるの?と聞かれて Software Developer だと答えると、Amazon?と聞かれるくらいにたくさんいる様です。

趣味

NFL は今年の 49ers はシーズン冒頭で QB が ACL でシーズン終了したので、もうその時点でやる気がなくなってしまいました。生活も落ち着けながらだったので、その時点で来シーズンは期待しようモードに入ってます。まぁ実際負け試合だらけなので見なくて正解だったなと。。。この 5 年くらいは本当にひどい。

アニメはいつも通り見ていて、特に今期は 5 個くらい見てました。合間で宇宙兄弟の見残していた 30 話くらいを一気に見たりしていて、引き続きいいアニメあったら見たいので情報募集中です。

コードも趣味の開発をずっとやっていて、序盤は Swift で iOS アプリ開発を進めていたのですが、どうしても体が LLVM を学びたいというので、前に少しだけ取り掛かっていた LLVM で Forth を実装するプロジェクトを再開して 2 ヶ月程でようやくコードを公開できるくらいにはできあがりました。

C++だけでなく Rust も使えて想像以上に色んな経験がつめたので、やってよかったプロジェクトでした。これで一応言語処理系をまがいなりにも実装してみたことになるので、ちょっとは進歩できたかな。Forth は 1 人でやるのにちょうどいい規模感なのでオススメです(単純に stack 使う実装だけだと簡単すぎて面白くないので、word 定義までやると良いです)。一体これが今後なんの役に立つのかはわからないけど、それが分かるのは後になってから、といういつもの”Connecting the dots backward”です。

来年はちゃんと iOS アプリを完成させたいのと、次はデータベース的なものを実装してみたいなと思ってます。その次は HTTP サーバかな。。。何をやっているんだ俺は。。。

最後に

永住権が取れるまでは、まだまだ油断できない状況ですが、きっと来年には取れるはずなのでそうしたら自分の人生に一つ大きな区切りがつけられそうです。

おまけ

天候のグラフを書くために、Hugo の Custom shortcode を使って、Markdown で書いたテーブルを自動で Chart.js に食わせる実装をしました。Plugin にまでしてもいいかなと思ったけど、JavaScritp 界隈の混沌に今足を突っ込むのはやめておこうということで諦めました。

Footnotes

  1. https://vancouver.weatherstats.ca/charts/temperature-monthly.html

  2. http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_s1.php?prec_no=44&block_no=47662&year=2018&month=&day=&view=a2

  3. https://vancouver.weatherstats.ca/charts/precipitation-monthly.html

  4. http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_s1.php?prec_no=44&block_no=47662&year=2018&month=&day=&view=a1

  5. https://vancouver.weatherstats.ca/charts/sun-monthly.html

  6. https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/dni13.html

  7. Earliest と Latest を使っているので 1 日の割合としては若干不正確ですがご愛嬌